【建設工業新聞  12月 11日 1面記事掲載】

国土交通省は2020年度に直轄工事で試行している「遠隔臨場」の実施状況をまとめた。9月末時点で、整備局・北海道開発局、内閣府沖縄総合事務局合わせて560件。うち実施中は449件、実施予定が111件となっている。当初は全国で100件程度を見込んでいたが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ非接触の取り組みとし必要性が認識され、大きく伸びた格好だ。

遠隔臨場はこれまで監督職員が現場で立ち会っていた臨場確認に代えて、映像と音声のデータを用いて発注者の事務所内でリアルタイムに承認・確認する。発注者は現場への移動時間、受注者は立ち会い調整時間がそれぞれ削減できる。対面検査が省けるため新型コロナの対策にも役立つ。

国交省は施工状況の確認作業の効率化などを目的に、段階確認や材料確認といった現場立ち会いを必要とする作業に遠隔臨場を適用。3月に試行要領(案)と監督・検査試行要領(案)、5月に20年度試行方針を策定した。コロナ対策で実施する場合は発注者指定として試行費用を全額負担する。各地方整備局で10件程度を試行し、全国で100件程度を予定していた。

9月末時点の試行状況を調査した結果、全国で560件(実施中449件、実施予定111件)に上った。事業別の内訳は▽河川=187件(145件、42件)▽道路=287件(231件、56件)▽砂防=30件(23件、7件)▽ダム=9件(8件、1件)▽その他(機械設備、電気設備など)=47件(42件、5件)。

工種別で見ると、一般土木が380件(296件、84件)と最も多く、続いて維持修繕が47件(39件、8件)、アスファルト舗装が35件(29件、6件)となった。地区別では関東が125件と最多で、中部103件、中国83件と続いた。

国交省は受発注者双方にアンケートを実施。撮影機器やモニターなど使用したデバイス、現場での接続性や視認性、コストなどを聞く。発注者の現場への移動時間、受注者の立ち会い調整時間の削減効果なども把握する。試行要領(案)などの見直しや試行継続などに関する検討材料にする。

監督・検査業務の遠隔化で工事関係者の接触機会が減り、コロナ対策として活用が広がっている。在宅で立ち会いが可能となり、テレワーク導入のきっかけにもなっているという。受発注者双方の働き方改革にもつながりそうだ。