【建設工業新聞  12月 25日 1面記事掲載】

国土交通省は10年後を見据えた建設生産・管理システムの在り方を検討する。社会全体のデジタル化や働き方の変化など今後10年の社会変動を踏まえて建設生産・管理システムの将来像を描く。その実現のため発注者や関係者が備えるべきシステム、仕組みを整理する。有識者会議で将来の方向性や実現に向けた課題などについて議論を重ね、提言を取りまとめる考えだ。

「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」(座長・小澤一雅東京大学大学院教授)の会合を24日にオンラインで開催。冒頭、国交省の東川直正官房技術審議官は「環境が大きく変動する中、発注者はどうやって責任を果たしていくか。今まで通りではなく、新しいことをやらなければいけない。変化に対応した発注行政について議論を開始したい」と述べた=写真。

今後10年、社会全体のデジタル化が急速に進展する。人口減少社会により建設産業の従事者(技術者、技能者、発注者)の総数が減少。一方、管理するインフラストックは増加し、維持管理・更新を含めインフラ整備は継続する。事業マネジメントの改善、業務の効率化を達成することが受発注者双方の共通の課題となる。

こうした課題に対し▽効率的で質の高い事業の実現▽多様な事業者が生き生きと参画できる開かれたインフラ産業▽創造的な成果を生かしやすい発注方法▽安全で働きがいのある労働環境-の四つのアプローチを提示。10年後の姿、在り方の方向性を示した。

建設生産・管理システムの将来像(10年後)は調査、測量、建設コンサル、施工、資機材といった従来産業に加え、3D・4D、クラウド、人工知能(AI)、ロボット、カメラ・センサー、第5世代通信規格(5G)、VR(仮想現実)・MR(複合現実)など多様な関連産業に支えられ、成り立っていく。効率的で質の高い事業の実現に向け、各プロセスの成果データを共通のプラットフォームに体系的に管理。必要な情報を誰でも、どこからでもアクセスできるようにする。

新たな技術を取り込めるような発注の仕組みの一例として、3Dモデル(BIM/CIM)を前提とした設計や積算、契約を明示。施工者が他のプロセスにも関わる方式による発注などを通じ、事業全体の最適化を踏まえた技術導入を図る。安全な労働環境を実現するため、データ活用を前提に効率的な施工管理や検査、納品のほか、受発注者が過去の成果やデータをクラウドで確認できる仕組みの構築といった姿も描いた。