企業成長における中小企業事業の貢献

日本政策金融公庫の中小企業事業は、長年にわたり中小企業の成長を金融面から支えてきました。その結果、公庫と取引のある企業の約2割にあたる783社が株式公開を達成している。平成以降に公開した企業も618社と2割を占めており、多くの企業が日本を代表する存在として発展を遂げています。

中小企業事業の支援が企業成長に果たした役割として、以下の3つのポイントがあげられます。

1つ目は、革新的な事業に対する先行投資的な支援です。新事業やベンチャー企業に対する政策金融として、民間金融がリスクを避ける分野に積極的な融資を展開してきました。京セラや楽天などを始め、多数のスタートアップ段階の企業を支えています。

2つ目は、景気変動に左右されにくい長期・固定金利の資金供給です。設備投資といった長期事業には短期の市場金利動向とは独立した長期資金が適しており、中小企業事業ならではの強みです。

3つ目は、事業再生時などのセーフティネットとしての機能です。新型コロナ禍においても実質無利子の特別貸付を迅速に実施するなど、危機的状況下での支援力が高いです。

こうした多面的な支援を通じ、日本を代表する企業の2割が公庫との関係を経て成長を遂げていることから、中小企業事業が企業発展へ果たした役割の大きさがうかがえます。今後も革新的なベンチャーから大企業を目指す企業まで、成長段階に応じた政策的支援が期待されるところです。